先月11月19日に11年越しの目標を一つ達成することができました。その目標とは
「ほかの学校に勤務されている英語科の先生方にとって学びがあるような授業を公開できること」です。
今年5月に今勤務している中学校で一つのプロジェクトを任せてもらうことができました。「エキスパート事業」というプロジェクトです。この事業について簡単に説明すると、県の教育委員会が経験があり、べテランの先生をエキスパートとして若手もしくは中堅の先生の授業改善のために派遣するというものです。僕はエキスパートの先生のもとで、授業改善に取り組む教師としてこのプロジェクトを受けました。月に1回多いときは2回エキスパートの先生に授業を見てもらい、アドバイスを受けて自分の授業を改善していきました。主体的・対話的で深い学びを創造するために、どのように授業を変えていくのかが自分の中で大きなテーマでした。授業を実践していくうえで以下のようなポイントがありました。
1. 文法の導入から生徒が考え、発話するように工夫すること。
2. できるだけ教師の説明の時間を減らし、生徒が活動することで新しい表現を習得できるようにすること。
3. ペアでの会話活動と発表を授業の中にいれること。
4. 授業のねらいに対するまとめと振り返りの時間を取り、振り返りは自己評価という形で、生徒が文章で書くこと。
このような視点で授業を改善していきました。
そして公開授業の当日11月19日には市内の中学校の英語科の先生方と小学校の英語専科の先生が見に来てくださり、授業の後には協議と講評もおこなわれ、さらなる改善のポイントも得ることができました。
この公開授業は僕にとって11年越しの一つの目標達成となりました。
11年前、僕は英語を教えながら大きな壁にぶつかっていました。その当時の僕の教え方はほぼ「チョーク&トーク」でした。僕が大事たと思う内容を黒板に書き、日本語で説明する。小学校で英語を教える機会をいただいたことで、少し変化した部分はありましたが基本的には「チョーク&トーク」のスタイルでした。このスタイルだとなかなか子どもたちは授業に乗ってきません。でもどこから自分の授業を変えていけばいいのかわからない、授業を変えるための決定的なヒントを常に探しているような状態でした。
そのヒントとなったものが上に写真で載せた田尻悟郎先生が書かれた「(英語)授業改革論」という本です。この本は僕の授業づくりを根本から変えるおおきなきっかけとなりました。この本を読んだとき衝撃を受けるとともに、大きな不安を覚えました。当時の僕は29歳。30歳直前でした。「果たして今から授業を根本から変えて、しっかりと実践できているという授業が創れるだろうか。」と思ったのを今でも昨日のように思い出します。と同時に「必ず自分の授業を変えていつかほかの先生方に学びを与えられるような授業を実践する。」と心に誓いました。11月19日の公開授業でもまだまだ改善の余地はあります。授業に完璧はありません。でも11年前にこの本を読んでそれを元に少しずつ自分の授業を変えていき、その授業をほかの先生方に公開できたこと。これは素直にうれしかったです。
「(英語)授業改革論」の中に出てくる僕が一番感銘を受けた部分を引用します。
国を変えるには、教育しかない。それぞれの教科で、健全な国、平和な世界を作るための授業づくりをしなければならない。知識を植え込むだけの乾いた授業から、生徒の頭と心が動き、もっと知りたい、もっと知ってほしい、だから知識・技能を身につけたいと思う、潤いのある授業にしていきたい。
そしてこの目標は決して僕一人の力では達成できませんでした。授業をする場と機会を与えてくださった先生方、授業を変えるヒントやアドバイスをくださった同僚の先生方、支えてくれた家族、僕の授業改善に付き合ってくれた子供たち、こういった人たちがいたからこそ授業公開をすることができました。
これまで僕にかかわってくださった方々、本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくおねがいします!
今日も読んでくださってありがとうございました。